顧客獲得単価の重要性と収益性の高い顧客獲得戦略

顧客獲得単価(CAC)

顧客獲得単価(CAC)とは、新規顧客獲得に必要な費用を計算するために企業が使用する指標です。マーケティングと販売のコストを合計し、その期間内に獲得した新規顧客の数で割って算出します。

この指標は、特定の種類の企業に限定されません。SaaSやEコマース企業、新興企業、老舗企業でも顧客獲得単価が役に立ちます。

まずは、ビジネスの成功か倒産かを左右する顧客獲得単価の指標について説明します。続いて、収益性の高い顧客獲得の戦略5つを紹介します。

顧客獲得単価が重要な理由

顧客獲得単価は以下のことを明らかにします。

  • 顧客からの収益より、顧客を得るための費用の方が上回っている
  • 顧客を得るための費用より、顧客からの収益の方が上回っている
  • 顧客からの収益と顧客を得るための費用が同額

顧客からの収益がその顧客を獲得する費用を上回るようにするには、収益性の高い顧客獲得戦略を持つことが重要となります。

顧客獲得単価は、「(マーケティングコスト+販売コスト)÷新規顧客数」で計算します。マーケティングコストや販売コストには、給与、ソフトウェアツール、マーケティングプログラム、有料マーケティング費用などが含まれます。

「数日前にあなたが雇った新しいセールス担当」の給料も計算に加えます。「最近購入したマーケティングソフトウェアの費用」の金額も計算に加えます。

一部の企業は、Facebook、AdWordsなどに費やした広告費だけをマーケティングコストと勘違いして計算していますが、それは顧客獲得の真のコストを示していません。顧客獲得単価を正確に測定するには、マーケティングと販売にまつわるすべての費用を考慮する必要があります。

総費用を計算したら、それを新規顧客獲得数で割ってください。

例えば、販売サイクルが30日間である商品について、6月の顧客獲得単価を算出することを考えてみます。6月の顧客獲得単価を正確に測定するには、6月のマーケティングコストと販売コストの総費用を計算し、7月に獲得した新規顧客数で割ります。顧客獲得に要する時間を考慮して「6月のコスト÷7月の新規顧客数」と計算します。

6月のマーケティングコストと販売コストを取り、それを6月に獲得した新規顧客の数で割る「6月のコスト÷6月の新規顧客数」で計算しないように注意してください。これは一見正確な6月の顧客獲得単価が出せたようにも見えますが、現実は販売サイクルを考慮しないため、正確な顧客獲得単価が計算できません。

商品の販売サイクルは、30日、60日、90日、または7日間かもしれません。どの販売サイクルであれ、顧客獲得単価を計算するときはこの変数を考慮してください。

顧客獲得単価の基準

全てのビジネスに当てはまる顧客獲得単価の基準はありません。

基準はビジネスモデル、具体的には顧客獲得単価と顧客生涯価値の比率によって異なります。

目安として顧客生涯価値は顧客獲得単価の少なくとも3倍です。3倍に満たない場合、価格を引き上げたり、コストを削減する必要があります。

収益性の高い顧客獲得戦略

何ヶ月もビジネスのアイディアを考えて、何時間もエネルギーを注ぎ込み完璧なマーケティングを手がけたとしても、顧客がいなくてはビジネスは始まりません。

「将来ビジネスが成長するかどうかは顧客獲得にかかっています」

と言うとあまりにシンプルに聞こえるかもしれませんが、近年ますます混み合った市場での成長と顧客獲得のための新たな機会を見つけることは非常に困難です。

毎日溢れかえるほどのメルマガやブログを多くのビジネスが配信しています。今日の世界では、あなたのビジネスをそれらの群衆から差別化し、熱心な顧客基盤を構築する方法で顧客を獲得することが重要です。

以下では、このための5つの戦略を紹介します。

顧客獲得を促進するためにインフルエンサーを動員する

「あなたの商品・サービスについて口コミが広がって欲しいとき、影響力を持つ人は?」

「見込み客が実際にあなたの商品・サービスを購入することを決めるとき、アドバイスを聞き入れる相手は?」

見込み客に最も影響を与えるのは誰かを理解し、そのインフルエンサーの信頼を得るようにアプローチします。インフルエンサーの心を鷲掴みにできれば、顧客獲得の強力な味方になります。

インフルエンサーとはあなたの顧客や見込み客が信用する、影響力のある人々です。インフルエンサーを見つけたら、彼らに以下の4つを行ってもらうためにサポートをする必要があります。

①熟知
商品・サービスを知らないことには、彼らは人に推薦することはできません。

②使用
実際に商品・サービスを使用し理解しないことには、彼らは自信を持って人に推薦することはできません。

③愛着
インフルエンサー自身が商品・サービスの本当の価値を経験し、他の人にとっても提供する価値があると確信することで、推薦するときに影響力がさらに高まります。魅力的な体験をインフルエンサーに感情的に与え、彼らの頭(思考)だけでなく心(感情)も勝ちとることです。あなたの会社の商品・サービスに満足してもらえれば業績アップに繋がります。

④商品、サービスを人に推薦する
インフルエンサーが経験から得た商品・サービスに対する満足度を増幅させるのに助けとなる方法を見つけます。例えば、ベネフィットを与えることで彼らが商品・サービスを推薦することを促進させます。

例えば、経理担当者や経営者が使いやすいように改善された中小企業向けの会計ソフトは、結果として税理士の仕事の効率を挙げることがあります。この場合、インフルエンサーは税理士になります。

また紹介料のようなインセンティブ制度を使用することもできます。商品、サービスを使うことでより多くの顧客を獲得できるように、インフルエンサーに動機付けすることができますか?

ビジネスを大きくすることばかりに集中し、利益を軽んじてはならない

ベンチャーキャピタルがビジネスの成長を考える際に「取引ごとに利益を500円を失うことになるが、量でカバーできる」と考えがちです。

顧客を獲得するためなら大量の資本をドブに捨てても、後で収益化を図れると考えています。しかし、どれだけ大量販売できたとしても、利益を生まなければ、資金はいずれ底をついてしまいます。

これは起業して数年の企業にもよく見られます。収益の問題を解決するための明確な計画を立てずに、ビジネスを大きくすること(例えば、販売量を増やすこと)ばかりに気を取られてしまうことが主な原因です。

持続可能なビジネスであるならば、顧客価値はその顧客獲得単価を上回らなければなりません。起業して間もない頃から、利益を着実に得ていけるよう、計画を立てる必要があります。

顧客獲得のマーケティングはタイミングが大事

発売前から顧客獲得へ向けマーケティングを開始することは決して悪いことではありません。

ただし、商品完成・サービス準備が整う時期に合わせて、マーケティングのタイミングを見計らうことが重要です。

このタイミングについての詳細はプレオーダーで販売促進の記事をご覧ください。

コンテンツは強力な獲得チャンネル

コンテンツは顧客獲得の基礎です。コンテンツ・マーケティングを上手に行えば、顧客をリターゲティングすることができます。

コンテンツには自サイト、ブログ、ソーシャルメディア、メルマガ、ホームページ、ランディングページ、書籍などの媒体が含まれます。これらのさまざまな媒体から継続的に情報を配信することで顧客を獲得することができます。

インターネット上で、顧客にとって役に立つ優れたコンテンツを作成している場合は、自然に外部リンクがつけられ、そのウェブサイト・ドメインの力が強化されます。結果、検索エンジンで上位に表示され、多くの顧客に接することが可能になります。ウェブサイトからより多くの顧客のEメールアドレスを収集し、メルマガやEメールを通してコンバージョン率を最適化することができます。

ここまで読んでみて、「コンテンツを常に更新するのは大変。何を書いていいのか分からない。ネタ不足。」と感じてしまいましたか?

常に新しい記事を追加すれば良いと言うわけでもありません。過去の記事を修正していくこともとても重要なことです。これについては以下のフレームワークを参考にしてください。

このフレームワークは新たに記事を書く際、「このトピックは既に書いた記事でカバーしていた!」と気付けば、その過去の記事を修正する良いチャンスにもなりますので活用してください。

コンテンツの再使用のワークフロー

コンテンツ・マーケティングは構築するのに時間がかかりますが、顧客の役に立つコンテンツを作り続ければ必ず顧客獲得に繋がります。辛抱強く、諦めずに構築し続けてください。

適切な顧客を獲得するために主要顧客を明確にすることの重要性

「顧客重視」とは主要顧客を特定することです。YahooとGoogleの対照的な軌跡を例に説明します。

Yahooは、独自の編集内容を売りにした、幅広いインターネットポータルとして始まりました。

ユーザーを引き付けるために、ジャーナリストを雇い、エンターテインメントストーリーを作成し、ファイナンス、ショッピング、トラベル、スポーツ、映画などのユーティリティーを作成しました。

時間の経過とともに、Yahooの役員はソーシャルネットワーク、商品、メディア、広告などの多くの追加イニシアチブにリソースを広め始めました。その結果、Yahooは検索エンジンへの投資が不十分になり、ウェブサイトは乱雑で混乱していました。

そしてGoogleが参入しました。

当初から、Googleは技術を重視し、新しい機会とアプリケーションを開拓する能力を重視するユーザーに焦点を当てました。Googleは、技術革新の自由を与えられた技術者やエンジニアに、そのリソース(そして威信)をシェアしました。

ビジネス全体の目的は、検索、Android、Google mapのいずれの場合でも、世界最高のテクノロジーを構築することでした。そのぶれない価値命題とビジネスモデルで、Googleは競争の激しい市場でYahooに対し、急激にそして圧倒的な差をつけました。

まとめ

適切な顧客を獲得するには、主要顧客が誰であるかを知る必要があります。

彼らが実際に必要としていることが何かを理解することで、その主要顧客のニーズに合った方法でリソースを割り当てることができます。

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