資金繰り改善策25選

資金繰りに困ったときに使える改善のためのアイディアを25個紹介していきます。

目次

資金繰りが悪化する原因

資金繰りが悪化する原因はいろいろとありますが、大きく区別すると以下の8つに分類されます。

  1. 売上の減少
  2. 経費の増加
  3. 売掛金の回収遅延
  4. 買掛金・未払金の支払期日が早い
  5. 税金の支払いや間違った節税・税金対策
  6. 在庫が多い
  7. 設備投資が多い
  8. 借入金の返済負担が大きい

これらの資金繰り悪化原因に対する改善策についてご紹介します。

売上の減少に対する改善策

まずは、売上の減少に対する改善策を紹介します。

利益率の高い商品やサービスの販売に注力する

売上が減少したとしても利益を減らすことがなければ将来会社に入ってくる現金の額は変わりません。したがって、自社の営業マンに対して利益率の高い商品やサービスの販売を強化するように指示を出すことで資金繰りの悪化を防ぐことができます。

ただし、利益率の高い商品やサービスを把握するための正確な会計の仕組みが社内にあることが前提となります。

利益を増やす方法については連載記事「利益倍増戦略」もご覧ください。

業績評価の基準を売上から利益に変える

上記の改善策にも関連しますが、営業マンに対して利益率の高い商品やサービスの販売を指示するだけでなく、業績評価を利益に基づいて行うようにすることも重要です。

売上を業績評価の基準とした場合、営業マンは売りやすい商品を多く売るようになります。売れる商品と儲かる商品は別であるため、会社が望む結果を得るためには利益を業績評価の基準とすることが適切です。

売れる商品と儲かる商品の違いについては関連記事「本当に儲かっている商品は?」もご覧ください。

売上代金の回収期日が早い商品・サービス、取引先の販売に注力する

後述しますが、売上代金を早く回収するようにすることも重要です。せっかく利益率の高い商品が売れたとしても、代金回収が遅れてしまっては元も子もありません。

商品やサービス、取引先ごとの売上代金の回収期日を一覧化して、期日の早いものを中心に営業を行うようにしましょう。

経費の増加に対する改善策

経費の増加を抑えることも、資金繰りを改善するためには重要です。ただし、必要な経費まで抑制することのないように注意が必要です。

予算を作成し、毎月予算と実績と比較する

経費の支出計画が作成されていない場合には、経費が増加してしまう傾向があります。各部門や個人が使用できる経費の限度額を定めることにより、不要な支出が行われないようにすることができます。

また、計画は作っただけでは効果がありません。月が終わったら必ず実績を集計し、予算と比較して計画以上の支出が行われることがなかったかを確認する必要があります。仮に計画以上の支出が行われてしまった場合には、そうなってしまった原因と今後の対応策を検討します。

経費を一覧化し、効果のない経費を削減する

現在支出している経費について、会社の売上に貢献していないものがないと言い切れますか?以前は必要があった経費でも、時間が経過し会社の状況が変わると不要になるものがあります。実際、経費を一覧化して、そのひとつひとつについて支出の意味を検討してみると、今は行っていないサービスに対する支出が見つかり、コスト削減が可能となることがあります。

外注やアウトソーシングを利用する

自社にノウハウを蓄積する必要のない業務については、外注やアウトソーシングを利用することを検討するべきです。外注やアウトソーシングの場合には、業務量に応じたコスト負担にできる上に、社会保険料等の負担がなくなるため、経費の削減につながります。

例えば、会計の入力や決算の集計といった経理業務、給与計算や勤怠管理といった人事労務に関する業務については、会社ごとに大きな違いがあるわけではないのでアウトソーシングを検討する余地があります。

売掛金の回収遅延に対する改善策

売掛金の回収管理は資金繰り改善の基本です。

売掛の回収管理を徹底する

売掛金の回収を適時に行うためには、回収管理を徹底することが基本です。何月何日にどの得意先からいくらの入金があるのかを把握できるようにするとともに、回収が期日より遅れた得意先については入金の督促を行う必要があります。

なお、若い売掛金(回収が期日よりも少し遅れているもの)については若い社員から得意先に連絡することで入金してもらえることが多いですが、古い売掛金(回収が期日よりも大きく遅れているもの)についてはベテランの担当者が入金を督促しなければなかなか回収できないことが多いです。

入金条件の交渉を行う

売掛金の回収条件について得意先に交渉することも重要なことです。もちろん先方も資金繰りが悪化することにつながるため、すべての得意先について実施することができるわけではありませんが、例え数社であっても回収期日を早めることができれば資金繰りは改善することもあります。

また、一方的に回収期日を早めるだけではなく、得意先にも支払を早くすることでメリットが生じるようにすることも検討しましょう。例えば、回収期日を早めてくれた得意先については売上代金の割引を行うなどすることが考えられます。そんなことをすれば売上が減ってしまうのでは、と心配されるかもしれませんが、売上代金を早く回収して資金繰りを改善することの効果が上回ることが多いです。

ファクタリングや手形割引を利用する

得意先が回収期日を早めてくれない場合にはファクタリングサービスを利用する方法もあります。また、手形による代金回収の場合は手形割引を利用することもできます。

ファクタリングサービスとは、得意先に対する売掛金を買い取ってすぐに資金化を行ってくれる業者のことです。この場合、ファクタリング業者に対する手数料が発生するため、回収できる売掛金の金額は減少しますが、資金繰りを改善する効果は見込めます。

手形割引も同様で、手形の回収期限まで待つことなく資金を回収することができますが、その分回収額は減少します。

買掛金・未払金の支払期日が早いことに対する改善策

買掛金等の債務について、支払期日を伸ばすことができれば借入と同じ効果を得ることができます。

支払条件の交渉を行う

売掛金の回収期限を早めるための交渉と同様に、仕入先に対して支払期限を延ばすことができないか交渉してみましょう。これまでに支払期限の交渉をしたことがない場合や、資金繰りに窮していない仕入先の場合には交渉に応じてくれる可能性があります。

また、複数の仕入先から同じ商品を購入している場合には、支払条件の交渉に応じてくれた仕入先に対して取引量を増加させる等のメリットを提供するという方法も考えられます。

経費の支払を法人カードで行う

日常的な経費の支払について、現金払いや自動引き落としではなくクレジットカードを利用できないか検討してみましょう。クレジットカードの場合には口座からの引き落とし日が先になるので、それだけでも資金繰りを改善する効果があります。

また、クレジットカードによっては一回払いでなく分割払いに対応してくれる場合もあります。さらに、カードで支払を行うとポイントが付与されることもあり、資金繰りの改善以外でも会社にメリットをもたらしてくれます。

税金の支払いや税金対策による資金繰り悪化の改善策

税金の支払は多額になることが多いので注意が必要です。また、過度の税金対策も結局支出が多くなるため資金繰りの悪化に繋がります。

仮決算による中間申告を行う

前年度の税金を一定額以上支払った場合には、当年度において税金の前払(中間納付)が必要となります。通常は前年度の支払額を基準として中間納付額が決定されるため、そのとおりに支払うことが多いです。しかし、半期で仮決算を行って税金の金額を計算し、納付することも可能です。

これが有効となるのは、前年度の業績が当年度の業績よりも良かった場合です。この場合には、前年度の支払額が多額となるため、その金額を基準として中間納付を行うよりも、仮決算をした方が納税額が減少し、資金繰りが改善します。

年間の支払スケジュールを把握する

税金を納付すべき時期は税目ごとに決まっているため、年間の支払スケジュールは顧問税理士に確認するなどして把握しておきましょう。把握しておくべき税目は、

  • 法人税
  • 住民税
  • 事業税
  • 消費税及び地方消費税
  • 固定資産税
  • 源泉所得税
  • 社員からの預り住民税

が一般的です。特に消費税及び地方消費税は前年度の納付額に応じて当期の納付時期・回数が変わってくるので注意が必要です。

年間の支払スケジュールが把握できていれば、税金の支払時期が来る前に対策を検討することができるため、思わぬ資金不足に悩まされることはなくなります。

資金繰りを悪化させる税金対策はしない

経営者の中には、税金を多額に支払いたくないということで節税や税金対策を好む方もいらっしゃいます。節税や税金対策を考えること自体は悪いことではありませんが、それが資金繰りの悪化につながる場合には要注意です。

例えば、生命保険や中古車両の購入といった方法は確かに節税にはなるのですが、同時に資金の支払いが必要となります。また、生命保険については毎期の保険料負担が必要となるものもあるので、一時業績が良かったからといって安易に契約するのは危険です。

決算書上で利益が出ていたとしても、実際に手元にお金が残っているかどうかは全く別の問題ですので、現金や預金の動き(=キャッシュ・フロー)を把握しないまま節税に手を出すと資金繰りを悪化させることになります。

節税を考える際は、必ず資金繰りに問題がないかを検討するようにしましょう。

節税も含めた決算対策で絶対に抑えておくべきポイントについては関連記事「経営者が知らない本当の決算対策」もご覧ください。

在庫が多いことに対する改善策

在庫は資金が形を変えて会社に眠っているものです。適正数量の保有を心掛けます。

販売計画と仕入を整合させる

お客様から注文のあったときにすぐに商品を発送できるようにと、販売計画より余裕を持たせた数量の在庫を保有していないでしょうか?多少の余裕は必要ですが、保守的過ぎると資金繰りに悪影響を与えるので注意が必要です。

在庫はいったん保有すると売却するまで資金化されることがなく、社内に留まることになります。この間は仕入代金相当額の資金が使用できなくなりますので、必要以上の在庫保有をしなくていいように、販売計画に沿った仕入を行うようにしましょう。

実際、在庫の保有高を見直し、減少させることで多くの会社で資金繰りが改善しています。

製造工程に滞留する在庫を削減する

在庫の保有を減少させるというのは、お客様に販売する商品や製品に限りません。製造に必要な原材料や工程の中途にある仕掛品も対象となります。

特に原材料の仕入れから完成品の販売までのリードタイムが長い業種は要注意です。在庫が製造工程にある間と、お客様に納品されるのを待っている間は、その製品を製造するために投下したすべての資金が使えない状態になっています。

それでは、具体的にどのように工程に滞留する在庫を削減したら良いのでしょうか?一つの方法としては、実際に製造ラインを視察して、原材料や仕掛品が積み上げられている所がないかを確認することです。ある工程に在庫が積み上がる傾向があるということは、その前工程の製造スピードを下げても大丈夫であることがほとんどです。前工程の製造スピードを下げれば投入される原材料も減少させることができるため、滞留在庫が解消し、資金繰りに余裕が生まれます。

不要在庫を廃棄する

在庫を廃棄することでも資金繰りの改善に繋がります。ただし、この方法は資金繰りをすぐに改善するというよりは、長期的に見た場合に効果のある方法になります。

まず、不要在庫を廃棄することでその在庫を保管していたスペースを削減することができます。この結果、賃借する倉庫スペースを減らすことが可能となるため、賃借料の減少という形で資金繰りが改善します。また、不要在庫であっても棚卸を行ったり、他の在庫をピックアップするために移動したりということが起こりえます。そのような在庫管理に伴う人件費負担も削減することが可能です。

また、不要在庫を実際に廃棄した場合、その在庫の金額は経費として計上することが可能となります。つまり、利益の出ている期に在庫を廃棄することで支払うべき税金額を減らすことが可能です。利益の出ていない期の場合には、その機において税金額を減らすことはできませんが、生じた損失は繰越欠損金として翌期以降に繰り越せるため、将来負担すべき税金額を減らすことができます。

設備投資が多いことに対する改善策

設備投資をしなければ生産性が上がらないこともありますので、収入とのバランスが大事になります。

投資は営業キャッシュ・フローの範囲内で実施する

設備投資は将来の利益獲得のために必要となるものですが、営業キャッシュ・フローの範囲内で実施することが原則です。この原則を守ることによって資金繰りは改善します。

しかし、新規事業を開始するために金融機関から融資を行って設備投資を行うケースもあります。この場合には、将来獲得できる営業キャッシュ・フローと融資の返済による財務キャッシュ・フローを慎重に比較して、前者が多いと予測される場合に投資を行うようにしましょう。

リースを活用する

設備投資を行うときは、リースを活用することができないかについても検討しましょう。リースを利用して投資をすれば、利息の負担は発生するものの、投資時点の一時的な資金負担をなくすことができること、毎年の支払額を一定とすることで資金繰りがわかりやすくなるというメリットがあります。

現在所有している設備がある場合には、セールアンドリースバックという手法も活用できます。これは、所有設備をリース会社に売却すると同時にリース契約を締結し、設備の利用は継続する方法です。企業は設備の売却代金を得ながら設備を継続して利用できるため、資金繰りが大きく改善します。

不要な資産を売却・処分する

使わなくなった設備や古い設備については売却することや処分することも検討しましょう。設備の売却価格よりも購入価額が高いため、売却すれば損失が出るということはよくありますが、このことだけを理由に売却をしないことはお勧めできません。

設備は保有するだけでも一定のスペースを占有しますし、管理に人手も必要となりますので、余計な賃借料や人件費が発生することになりかねません。また、売却損は利益と相殺させることで税金を減額することも可能となります。

借入金の返済負担が大きいことに対する改善策

どんなに利益を稼いでいたとしても、それを上回る返済が必要であれば資金繰りは厳しくなります。借入金の返済負担が大きい場合の対策について説明します。

借入金の返済額は損益計算書では見えないことを理解する

まず、借入金の返済は「費用」ではないということを理解する必要があります。つまり、借入金の返済額は損益計算書に計上されないので、損益計算書だけを見て資金繰りの判断を行うことはできないのです。利益が出ているからといって、返済に問題がないとは限りません。

本来はキャッシュ・フロー計算書や資金繰り表を作成することで、借入金の返済状況を見るべきですが、ここでは簡易的に返済状況を確認する方法を紹介します。

確認すべき数値は税引後の当期純利益、減価償却費、返済額のたったの3つです。この数値をもとに次の金額を計算してください。
当期純利益+減価償却費-返済額
もし、この金額がプラスであれば、借入金を返済しても会社にお金が残っていると判断することができます。反対にマイナスとなっている場合には要注意です。せっかく利益が出ていたとしても会社からお金が出て行ってしまっている状況ですので、資金繰りの改善を早急に行う必要があります。

借入金の一本化を検討する

複数の金融機関から借り入れを行っているケースはよくあります。このような場合には、借り換えを行うことで返済負担を軽くできる可能性があります。

ここでは話を単純にするために、2行から借入をしている状況を考えます。

金融機関A:月30万円返済×20ヶ月=残高600万円
金融機関B:月50万円返済×12ヶ月=残高600万円

この場合、合計で月々80万円の返済が必要で借入金の残高は1,200万円です。仮に金融機関Aに相談して次の条件で借り換えを行ったとします。

借り換え後:月30万円返済×40ヶ月=残高1,200万円

この場合、返済期間が長くなるので金利が上昇することになりますが、月々の返済は30万円で済むため、金利負担の上昇を考慮しても月50万円近い金額の支払負担がなくなります。金利はコストですが、資金繰りの改善という視点で見た場合には、そのコストを上回るメリットをもたらしてくれることが多いのです。

金利についても金融機関Aの貸出残高が増えることから、会社の業績しだいでは金利が下がるというメリットも期待できます。また、両方の銀行に借り換えを依頼する時点で両行に金利の交渉を持ちかけることで金利を下げられる可能性もあります。

その他の改善策

その他、上記に分類されない資金繰り改善策について説明します。

資金の動きと損益は別であることを理解する

損益計算書上で利益が出ていたとしても、手元に資金があるかどうかは別問題であると考えた方が良いです。資金の動きと損益は以下の理由により一致しません。

  1. 売上や経費は発生時点で計上される。実際に入金や出金があったタイミングで計上されるわけではないため、利益が出ていることと実際にお金が残っていることは必ずしも連動しない。
  2. 借入による収入や返済による支出は損益に計上されない。したがって、返済支出が多い場合には利益が出ていても手元に残る資金は少なくなる。
  3. 固定資産の取得価額は購入時に費用とならない。したがって、利益は増加するが支出は発生しているので手元に残る資金は少なくなる。

したがって、損益計算書だけを見ていたのでは資金繰りの改善はできません。資金繰りを管理し改善するためには資金繰り表や後述するキャッシュ・フロー計算書を作成・分析する必要があります。

資金繰り表の作成方法については、関連記事「資金繰り表作成する?しない?」をご覧ください。

売上が増加しているときでも支出は抑える

一般的に、売上が増加しているときには資金が不足します。これは商品を仕入れてから販売するまでのお金の流れを考えるとわかります。

商品を販売する前にまずは仕入が必要になります。つまり、仕入代金の支払がまず必要になり、その後に販売し、売上代金の回収が行われます。つまり、仕入代金の支払から売上代金の回収までの間は資金が手元にない状態なのです。このため、売上が増えれば増えるほど、先に支払を行う金額も増加するため資金不足が起きるのです。

したがって、売上が増加しているから経費を増やしても大丈夫と判断するのは危険です。業種によっては売上の増加が資金不足につながらないことも確かにありますので一概には言えませんが、資金の流れを見なければ判断を誤る可能性は高くなります。

キャッシュ・フロー計算書を作成する

資金の流れを見える化するためにはキャッシュ・フロー計算書を作成するのが有効です。キャッシュ・フロー計算書は上場企業以外では作成が義務付けられていないため、作ったことのない企業も多いと思います。上場企業に要求される水準で作成するのは難しいですが、資金の流れを見るためだけであれば比較的簡単に作ることができます。

キャッシュ・フロー計算書を作成することのメリットは、資金の流れを営業活動、投資活動、財務活動の3種類に区分して把握することができる点です。このため、どの活動による収支を改善すべきであるかが明確になり、資金繰り改善のための糸口をつかむことが可能となります。