資金繰り改善策25選

困ったときにすぐ使える資金繰り改善の方法を25個紹介していきます。

資金繰りを悪化させる税金対策を止める

税金を払いたくないということで節税や税金対策を好む社長の方もいらっしゃいます。節税や税金対策自体は悪いことではありませんが、資金繰りの悪化につながる場合があるので注意が必要です。

例えば、生命保険に加入したり、中古車を購入したりすれば、税金は減ります。しかし、その分の支出が必要なので、結果的に手元に残るお金も減ります。生命保険については翌年以降も保険料負担が必要なので、当期の業績が良かったという理由だけでの加入は危険です。

決算書で利益が出ていたとしても、実際に手元にお金が残っているかどうかは全く別の問題です。現金や預金の動きを把握しないまま節税に手を出すと資金繰りは悪化します。

不必要な節税を止めれば、資金繰りは確実に改善します。

節税も含めた決算対策で絶対に抑えておくべきポイントについては関連記事「経営者が知らない本当の決算対策」もご覧ください。

売掛金の回収管理を行う

売掛金の回収管理は資金繰り改善の基本です。売掛金の回収を適時に行うには、回収管理の徹底が重要です。何月何日にどの得意先からいくらの入金があるのかを把握し、回収が遅れている得意先については入金の督促を行います。

なお、若い売掛金(回収が期日よりも少し遅れているもの)は若い社員が入金催促を行っても良いのですが、古い売掛金(回収が期日よりも大きく遅れているもの)はベテランの担当者が入金催促を行った方が回収率が上がります。

売掛金の条件交渉を行う

売掛金の回収条件について、得意先と交渉してみましょう。もちろん、先方の資金繰り悪化につながるため、すべての得意先について交渉できるわけではありませんが、例え数社であっても回収期日を早められれば資金繰りが改善できます。

ただし、一方的に回収期日を早めるだけではなく、支払を早めるメリットを、得意先にも与えるようにしましょう。例えば、回収期日を早めてくれた得意先については、売上代金の割引を行うことが考えられます。それでは売上が減ってしまうのでは?、と心配されるかもしれませんが、資金繰り改善効果の方が大きいのです。

ファクタリングや手形割引の活用

得意先の回収期日を早められない場合には、ファクタリングサービスという方法もあります。また、手形による代金回収の場合は手形割引も活用できます。

ファクタリングとは、得意先に対する売掛金を買い取って、すぐに資金化を行ってくれるサービスのことです。ファクタリング業者に対する手数料がかかるため、回収できる売掛金の金額は減少しますが、資金繰りは改善します。

手形割引も同様で、手形の回収期限まで待たずに資金を回収できますが、その分回収額は減少します。

支払条件の交渉を行う

買掛金について、支払期日を伸ばせれば借入と同じ効果を得られるので資金繰りが改善します。

売掛金の回収期限を早める交渉と同様に、仕入先に対して支払期限を延ばせないか交渉してみましょう。これまでに支払期限の交渉をしたことがない場合や、資金繰りに窮していない仕入先の場合には交渉に応じてくれる可能性があります。

また、支払条件の交渉に応じてくれた仕入先に対しては、取引量を増加させる等のメリットを与えられるかも検討してみましょう。

法人カードで経費を支払う

日常的な経費の支払について、現金払いや口座払いではなくクレジットカードの利用を検討してみましょう。クレジットカードの場合には口座からの引き落とし日が先になるので、資金繰りの改善効果があります。

また、クレジットカードによっては一回払いでなく分割払いに対応してくれる場合もあります。カードの利用で貯まるポイントを福利厚生に活用するなど、資金繰り改善以外でも会社にメリットをもたらしてくれます。

借入金の返済額を見える化

どんなに利益を稼いでいたとしても、それを上回る返済が必要であれば資金繰りは厳しくなります。

まず、借入金の返済は「経費」ではないことを覚えておきましょう。つまり、借入金の返済は損益計算書には計上されないのです。したがって、損益計算書だけを見て資金繰りの判断はできません。利益が出ているからといって、借入金の返済ができるわけではないのです。

資金繰り表やキャッシュ・フロー計算書を作成すれば、借入金の返済状況が見える化できるので、利益から返済ができているかとうかがわかります。

しかし、資金繰り表やキャッシュ・フロー計算書は作成には専門知識が必要のため、ここでは返済状況を簡単に見える化できる方法を紹介します。

必要な数値は当期純利益、減価償却費、返済額のたった3つです。当期純利益と減価償却費は損益計算書から、返済額は借入一覧表や借入契約書から把握できます。これらの数値をもとに「当期純利益+減価償却費-返済額」の金額を計算してください。

この金額がプラスであれば、借入金を返済しても会社にお金が残ります。反対にマイナスの場合には要注意です。せっかく利益があったとしても会社からお金が出て行ってしまっている状況ですので、資金繰りの改善を早急に行う必要があります。

借入金の一本化

複数の金融機関から借り入れを行うケースはよくあります。このような場合には、借り換えを行って返済負担を軽くできる可能性があります。

ここでは話を単純にするために、2行から借入をしている状況を考えます。

金融機関A:月30万円返済×20ヶ月=残高600万円
金融機関B:月50万円返済×12ヶ月=残高600万円

この場合、合計で月々80万円の返済が必要で借入金の残高は1,200万円です。

仮に金融機関Aに相談して次の条件で借り換えを行ったとします。

借り換え後:月30万円返済×40ヶ月=残高1,200万円

この場合、返済期間が長くなるので金利は上昇しますが、月々の返済は30万円で済みます。金利負担の上昇を考慮しても月50万円近い金額の支払負担がなくなります。金利はコストですが、資金繰り改善という視点で見た場合には、コストを上回るメリットをもたらしてくれることが多いのです。

金融機関Aの貸出残高が増えれば、会社の業績しだいでは金利が下がるというメリットも期待できます。また、借り換えを依頼する時点で両行に金利の交渉を持ちかけることで、金利を下げられる可能性もあります。

製造工程の滞留在庫を削減

減らすべき在庫はお客様への販売製品に限りません。製造に必要な原材料や工程の中途にある仕掛品も対象となります。

特に原材料の仕入れから完成品の販売までのリードタイムが長い業種は要注意です。在庫が製造工程にある間や、お客様に納品されるのを待っている間は、製造工程に投下したすべての資金が使えない状態なので資金繰りは厳しくなります。

それでは、どのように滞留在庫を削減したら良いのでしょうか?

手軽な方法としては、製造ラインの視察があります。視察の際は、原材料や仕掛品が積み上げられている所がないかに注意します。

もし在庫が積み上がる工程があるのならば、その前工程の製造スピードは下げても問題は起きません。前工程の製造スピードを下げれば投入する原材料も減らせるため、滞留在庫が解消し、資金繰りが改善します。

不要在庫の廃棄

在庫を廃棄すれば資金繰りの改善につながります。

不要在庫を廃棄すればその在庫を保管していたスペースが不要となるため、賃借料の減少という形で資金繰りが改善します。

また、不要在庫であっても棚卸を行ったり、他の在庫のピックアップのために移動したりしなければなりません。そのような在庫管理に伴う人件費負担も削減して資金繰り改善が可能です。

さらに、不要在庫を廃棄すれば、廃棄損は経費として計上できます。つまり、利益の出ている期に在庫を廃棄すれば、税金額を減らせます。損失の出ている期の場合には、その期の税金額は減らせませんが、損失は欠損金として翌期以降に繰り越せるので、将来支払う税金額を減らすことができます。

予算と実績の比較を毎月実施

経費の増加を抑えれば、資金繰りは改善します。ただし、利益を獲得するための広告費や人件費等、必要な経費まで抑制しないように注意が必要です。

経費予算を作成しないと、経費が増えてしまいがちです。各部門や担当者が使用できる経費の限度額を定めれば、不要な支出を抑制できます。

しかし、予算は作っただけでは効果がありません。月が終わったら必ず実績を集計し、予算と比較します。計画以上の支出があった場合には、その原因と今後の改善策を検討します。

経費を一覧化し、効果のない経費を削減

現在支出している経費は、会社の売上アップや利益アップに貢献しているでしょうか?

以前は必要だった経費でも、時間が経過し、会社の状況が変わると不要になることがあります。経費を一覧化して、そのひとつひとつについて支出の意味を検討してみましょう。不要な支出が見つかり、コスト削減を通じた資金繰り改善につながります。

外注やアウトソーシングの活用

自社にノウハウを蓄積する必要のない業務については、外注やアウトソーシングの活用を検討すべきです。外注やアウトソーシングを利用すれば、業務量に応じたコスト負担にできる上に、社会保険料の負担がないので、経費の削減につながります。

例えば、会計の入力や決算の集計といった経理業務、給与計算や勤怠管理といった人事労務に関する業務については、アウトソーシングの検討余地があります。

利益率の高い製品の販売に注力

まずは、売上の減少に対する改善策を紹介します。

売上が減少しても利益を減らさなければ会社に入ってくる現金の額は変わりません。したがって、自社の営業マンに対して利益率の高い製品の販売を増やすように指示を出すことで資金繰りを改善できます。

ただし、社内に「利益率の高い製品を把握できる正確な会計の仕組み」があることが前提となります。

利益を増やす方法については連載記事「利益倍増戦略」もご覧ください。

業績評価の基準を売上から利益に変える

上記の改善策にも関連しますが、営業マンに対して利益率の高い製品の販売を指示するだけでなく、利益に基づいた業績評価も重要です。

業績評価の基準を売上にすると、営業マンは自分が売りやすい製品を多く売る傾向になります。売れる製品と儲かる製品は別なので、会社の利益を増やし資金繰り改善につなげるためには、利益を業績評価の基準とすべきです。

売れる商品と儲かる商品の違いについては関連記事「本当に儲かっている商品は?」もご覧ください。

売上代金の回収期日が早い製品、取引先の販売に注力

売上代金を早く回収することも重要です。せっかく利益率の高い製品が売れたとしても、代金回収が遅れてしまえば資金繰りは悪化します。

製品、取引先ごとの売上代金の回収期日を一覧化して、期日の早いものを中心に販売を行うことで、資金繰りが楽になります。

仮決算で中間納税額を減額

前年度の税金を一定額以上支払った場合には、当年度において税金の前払(中間納付)が必要となります。通常は前年度の支払額を基準として中間納付額を行うのが一般的です。しかし、半期で仮決算を行うことも可能です。

仮決算が有効となるのは、前年度の業績が当年度の業績よりも良かった場合です。この場合には、前年度の支払額を基準として中間納付を行うよりも、仮決算をした方が納税額が減少し、資金繰りが改善します。

税金の年間支払スケジュールを把握

税金の納付時期は税目ごとに決まっています。顧問税理士に依頼して年間支払スケジュールを把握しておきましょう。少なくとも以下の税目は支払時期を把握しておきます。

  • 法人税
  • 住民税
  • 事業税
  • 消費税及び地方消費税
  • 固定資産税
  • 源泉所得税
  • 社員からの預り住民税

特に消費税は前年度の納付額に応じて当期の納付時期・回数が変わってくるので注意が必要です。

年間の支払スケジュールが把握できていれば、税金の支払時期が来る前に対策を検討できるため、急な資金繰り対策に悩まされなくなります。

販売計画と仕入を整合させる

お客様から注文があったら、すぐに製品を製造・納品できるようにと、販売計画を上回る数量の在庫を保有していないでしょうか?多少の余裕は必要ですが、保守的過ぎると資金繰りに悪影響を与えるので注意が必要です。

在庫はいったん保有すると、売却するまで資金化されずに社内に留まります。在庫を保有している間は仕入先に払った資金が使用できず、資金繰りを圧迫します。必要以上の在庫保有をしないように、販売計画に沿った仕入を行うようにしましょう。

実際、在庫の保有高を見直し、減少させることで多くの会社で資金繰りが改善しています。

投資は営業キャッシュ・フローの範囲内で実施

設備投資は将来の利益獲得のために必要ですが、営業キャッシュ・フロー(=営業利益+減価償却費)の範囲内で行うことが原則です。この原則を守れば資金繰りが悪化する可能性は減ります。

しかし、新規事業の場合には、金融機関の融資で設備投資を行うケースもあります。この場合には、将来獲得できる営業キャッシュ・フローと融資の返済額を慎重に比較して、前者が多いと予測される場合に投資を行うようにしましょう。

リースの活用

設備投資を行うときは、リースの活用についても検討しましょう。リースを利用すれば、利息の負担は必要となるものの、投資時点の一時的な資金負担はありません。また、毎年の支払額が一定となるので資金繰りがわかりやすくなるというメリットもあります。

現在所有している設備がある場合には、セールアンドリースバックという手法も活用できます。これは、所有設備をリース会社に売却すると同時にリース契約を締結し、設備の利用は継続する方法です。企業は設備を継続して利用しながらも、売却代金を得られるので、資金繰りが改善します。

不要な資産の売却・処分

使わなくなった設備や古い設備については売却や処分による資金繰り改善も検討しましょう。

設備は一定のスペースを占有しますし、管理の人手も必要となりますので、余計な賃借料や人件費が発生します。

また、売却損が出るから売りたくないという話を聞くこともありますが、それだけを理由に売却しないのはお勧めできません。売却損と当期利益を相殺させれば税金を減額できるからです。

資金繰り表の作成

損益計算書上で利益が出ていたとしても、手元に資金があるかどうかは別問題です。資金の動きと損益は以下の理由により一致しません。

  1. 売上や経費は発生時点で計上される。実際に入金や出金があったタイミングで計上されるわけではない。
  2. 借入による収入や返済による支出は損益に計上されない。したがって、返済支出が多い場合には利益が出ていても手元に残る資金は少なくなる。
  3. 固定資産の取得価額は購入時に費用とならない。したがって、利益は増加するが支出は発生しているので手元に残る資金は少なくなる。

したがって、損益計算書だけを見ていたのでは資金繰りの改善はできません。資金繰り表や後述のキャッシュ・フロー計算書を作成・分析する必要があります。

資金繰り表の作成方法については、関連記事「資金繰り表作成する?しない?」をご覧ください。

売上が増加しているときでも支出は抑える

一般的に、売上が増加しているときには資金が不足します。これは商品の仕入れから販売までのお金の流れを考えるとわかります。

商品を販売する前には仕入が必要です。つまり、仕入代金の支払がまず必要になり、その後に販売し、売上代金の回収が行われます。仕入代金の支払から売上代金の回収までの間は資金が手元にない状態なのです。

売上が増えれば増えるほど、先に支払を行う金額も増加するため資金不足が起きるのです。
したがって、売上が増加しているから経費を増やしても大丈夫と判断するのは危険です。資金繰り表を用いて資金の流れを把握しましょう。

キャッシュ・フロー計算書の作成

資金の流れを見える化するにはキャッシュ・フロー計算書の活用が有効です。キャッシュ・フロー計算書は上場企業以外では作成が義務付けられていないので、作ったことのない企業も多いと思います。上場企業に要求される水準での作成は難しいですが、資金の流れを見るだけであれば作成は簡単です。

キャッシュ・フロー計算書のメリットは、資金の流れを営業活動、投資活動、財務活動の3種類に区分して把握できる点です。どの活動による収支を改善すべきかが明確になり、資金繰り改善の糸口をつかめます。