資金繰り表作成する?しない?

会社経営をする方なら一度は耳にする「資金繰り表」

でも実際作成するのって難しいの?しないといけないものなの?

そもそもなんのために作成するの?手元に現金があるから大丈夫!資金繰り?管理できている!

なんて思っていませんか。ここでは資金繰り表作成について段階を追って説明していきます。

「資金繰り」に関連する記事はこちらもご参照ください。

目次

  • 1. 資金繰りとは
  • 2. 試算表?資金繰り表?
  • 3. 資金繰り表を作成しない理由
  • 4. 資金繰りの種類~使いわけ~
  • 5. 資金繰り表を作成する理由
  • 資金繰りとは

    資金繰りというと人によって捉え方が異なるかもしれません。

    ここでの「資金繰り」は会社経営をする上での「資金繰り」を指します。

    資金繰りとは、経費などの支払いに対応できるよう「会社に入ってくるお金」と「出ていくお金」の管理を行い資金の流れをコントロールしていくことを指します。

    経営者は、仕入れ・支払いのための現金、社員の給与、売掛金の回収など、社内のお金の出入りを把握し、支払いがスムーズにできるよう資金繰りを行っていかなければなりません。

    試算表?資金繰り表?

    試算表(合計残高試算表)

    試算表とは、一か月ごとに作成する貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)を合体させたものです。

    試算表は決算書を作成する前段階で、仕訳や金額の転記作業にミスがないかを確認するための帳票です。試算表や決算書をみるとおおまかな資金繰りの様子はつかめます。

    資金繰り表

    試算表や決算書では資金繰りが大変そうと推測できたとしてもいついくら足りなくなるかはまったく分かりません。

    例えば、「売掛金や未収金がいつ入金される」という情報や「買掛金や未払金をいつ支払う」という情報は試算表や決算書にはありませんよね。過去の情報でさらに入出金の情報のない試算表や決算書では将来の現預金の残高がどうなるのかは分からないのです。

    そのため試算表や決算書とは別に資金繰り表を作成する必要があるのです。

    資金繰り表を作成しない理由

    見落とし

    売上規模の大小にかかわらず、法人であれば税務申告が必要となってきます。個人事業主の場合は確定申告を必ずしなければなりません。

    申告のために1年間もの資金の流れのすべてをまとめて数値化する…そんなことを言われるだけで苦手意識がでてしまいますよね。税務申告に必要であるから、会計ソフト・システムを導入して、税務の先生(公認会計士や税理士)に託す。この一連の流れが「資金繰り表を作成しない理由」になってしまうのです。

    つまり、「数値の記録・集計は専門家がチェックしてくれて税務申告までしてくれるから大丈夫!」「会計システム・ソフトは経営状態を集計して示してくれるから大丈夫!」そして「その経営判断に役立つであろうデータは手元にある。税務の先生にアドバイスしてもらえるから大丈夫!」

    ⇒したがって「資金繰り表」なんて面倒なもの作成する必要なんてない。となるのです。

    …ちょっと待ってください。見落としています。この一連の事象・行動の目的は税務申告ということに重きを置いているので、経営判断の資料もアドバイスも、申告を前提とした会計ルールから出てくることになります。しかし、税務の先生も会計からのアドバイスはしますが、経営戦略のアドバイスをすることは少ないでしょう。

    勘定あって銭足らず

    資金繰り表作成の目的は、事業の存続と拡大のための指標(資料)とするところにあります。

    税務申告とは目的が異なるので、もちろん作成するルールも違います。

    現在では、会計ソフトの充実により資金繰り表が作成できるものもたくさんあります。しかし、残念ながら、会計項目を使い、会計ルールを維持しながらでは、その会社にあった分かりやすい資金繰り表の作成はできないのです。税務申告をもとにした会計ルールと、事業存続のために資金の流れに特化した資金繰り表ではルールが違うのです。無理に帳尻合わせをしようと思えば、どうしてもわかりにくいものになってしまいます。会計ルールの資料を用いて資金繰りの管理をしていませんか?事業を継続するためには、資金繰り表を基に経営方針を現場と話し合って決めていくことをお勧めします。会計資料を見た限りでは優秀だけど、実は資金繰りは苦しいというようになってしまわぬようにしましょう。

    資金繰りの種類~使いわけ~

    月繰り表

    ①予定月繰り表

    毎月の入金、出金の予想を一か月ごとで作成していく資金繰り表です。例えば売上であれば前年度を参考にして毎月どのくらいあがるのか。また売上のうちすぐに回収できる現金と一定期間ごとに回収される売掛金の割合などは粗方予想できます。また支払に関しても同様です。税金の支払いも支払月は決まっていますし、前年度の決算を参考にすればわかります。従業員給与についても大きく変動することはないでしょう。設備投資をする際も急には決まるものではないので予想が立てやすいです。このように一つ一つの項目の入出金を予想しながら作成するのが「予想月繰り表」です。

    ②実績月繰り表

    これが大方認識されている「資金繰り表」となります。1か月ごとに実際の入出金を管理します。

    好ましいのは両方作成することです。予想に対して実際はどのような資金の動きになったのか、どこで乖離がおきたのかが一目瞭然だからです。

    日繰り表

    日繰り表の管理は、毎日の入出金の実績を記載していくことで、月中の資金の安定を目指すために有効な作業となります。そして実績月を基に翌月の予定を見込んでいくのです。翌月繰越金額をいくらにすればよいか、などを決めることにも役立ちます。

    月繰り表だけでは月中の資金の安定は図れません。例えば、月中の何日に一番資金がなくなるかを把握しているでしょうか。多くは、給与支払日が一番会社の資金がなくなる日、となっているかもしれません。その時点で会社に資金がどのくらい残っているかが重要となります。業績が安定している会社は、この時点の資金が翌支払い金額をフルカバーしています。

    本当に資金繰りが厳しくなってくれば、会社の資金が枯渇してしまう日が明確になりつなぎ資金として借入をしてしまうでしょう。そうなってしまったらその先は借入する前よりも厳しい状態になるリスクが出てきます。そうならないために、翌月繰越金額を何としてでも確保し、支払優先順位を決め、なんとか借入をせずに事業が継続できるようにしていく方法を真剣に検討する時であることを示してくれるものでもあります。

    資金繰り表を作成する理由

    実際に作成した理由

    相談に来てくださるかつ資金繰り表を作成している会社の社長のほとんどが、資金繰り表を作成し始めたきっかけは「資金繰りが苦しくなってから」でした。多くの社長は「会社の業績が安泰なときに資金繰り表を作成し、内部資金の確保につとめ各部署と情報共有しておけばよかった…」と後悔しています。

    つまり、「資金繰り表を作成した理由」は、資金繰りが厳しくなって切羽詰まった中で、いつ資金が尽きるのかを確認するため、ということになります。

    ズレ

    資金繰り表は、販売代金の入金や仕入代金の支払いの事実に基づいて会社の資金繰りを表します。

    販売と入金のタイミングは、多くの場合にずれが生じます。小売やレストランの場合ですら、お客さんがクレジットカードで支払いをすれば、売掛金となり販売と代金入金のタイミングはずれるのです。現在では流通が少ないですが、手形決済も販売してから入金されるまでに一定の期間は現金化されません。もちろんすぐに手形を割り引いて資金化することもできますが代金回収額は少なくなってしまいます。また得意先の経営状態によりいきなり「代金の支払を猶予してほしい!」なんてことも長年事業をしていればいるほど経験することでしょう。

    また、仕入れと仕入代金の支払いのタイミングも異なることがほとんどです。

    ですので、販売と仕入の事実に基づき、会社の損益を表す損益計算書と、入金と出金の事実に基づき、会社の資金繰りを表す資金繰り表は、異なる結果となります。

    損益計算書はある一時点の結果であるため損益が黒字でも資金繰りはマイナスであったり、その逆の状況は、頻繁に起こります。

    人間の脳の記憶力には限界があります。あらゆるズレを一つ一つは把握できていたとしても月次、半期などでみていくと思っていた資金繰りとは違うな…と思うことがでてきます。そのズレを生じさせないためにも作成することをお勧めしています。

    ここでは①予定月繰り表と②実績月繰り表を作成することが好ましいです。

    交渉材料としての資金繰り表

    銀行がお金を貸すときにもっとも重視するのは、資金使途と返済財源です。

    資金繰り表では全体の資金の流れ、つまり資金の調達(源泉)と資金の運用(使途)を可視化することができます。資金繰り表は、使途が適正であり、回収に問題がないことをアピールするための力強い訴求資料です。

    しかし、銀行への融資の申し込みの際の必須提出資料の中に「資金繰り表」がないのも事実です。資金繰り表がなくても融資の審査には入ってもらえます。ですから、小規模の会社も中堅中小企業も、あえて労力をかけて資金繰り表を作成しない、というのも納得できます。

    決算書や損益計算書は粉飾することはできますが、資金繰り表は粉飾することはできません。月末現預金残高は、嘘をつかない絶対的な数値です。

    資金繰り表を作成し、銀行へ自主的に持ち込めば金利などの交渉する際に有利になることもあります。銀行担当者はその資金繰り表(①+②が好ましい)をもとにお金の入出金の実績を確認し予定をヒアリングすることがスムーズになるため企業側への信頼度も上がります。業績も上向きで資金繰りも問題ないならば銀行側と対等な立場で金利水準の交渉をすることもできます。

    銀行は堅実で書類主義なところもあるので口頭でのヒアリングなどはあまり参考にされません。

    是非この機会に一度作成することをお勧めします。