生産性を高めるオフィスの物理的環境

はじめに

「生産性向上のために色々試してきたけど何だかマンネリ化してきた…」と最近感じていませんか?

当ウェブサイトでも社内の人的環境を整え、社員の生産性を向上する方法をいくつかの記事でご紹介してきました。

今回は社内の物理的環境を整え、社員の生産性を向上させる方法を紹介します。

人的環境に関する内的な方法ではなく、物理的環境に関する外的な方法についての説明になります。

一般的に人的環境には注意を払い、改善を試みる経営者の方は多くいます。しかし、物理的環境に注意を払い、改善を試みる経営者はあまり多くはありません。

人的環境を整えるための情報についてお探しの方は、こちらのコラムをご覧ください。

オフィスの物理的環境に関する研究結果

オフィスの改装や移転を予定している場合は、家具、インテリア、その他のインテリア・デコレーションについて考える良いチャンスです。

研究によると、オフィスの物理的環境は社員の生産性と作業効率に大きな影響を与えるようです。普段はあまり考えることはないかもしれませんが、個々の机から照明にわたるオフィス内インテリアは、社員の行動に影響します。

もし、あなたが生産性の悪い社員に頭を悩ませているのであれば、知っておくべきことがあります。以下で紹介する研究では、ツール、家具、屋内環境の質など、職場の生産性に焦点を当てています。

社員が勤務中に直面しているすべての不快感の要因となる物は、その社員がすべき作業から集中力を奪ってしまいます。

社員の生産性に関する研究は、オフィスが快適であることがどれほど重要であるかを示しています。

モニター連結で生産性が50%高まる

最低でも2台のモニターを連結し、デュアルディスプレーにするだけでもPC作業の効率がアップします。

特にコピペ(コピー&ペースト)に関しては生産性と作業効率が9~50%も上がったという研究データがあります。その研究者によると、複数の画面があることでユーザーは、ある作業から別の作業に切り替えることが容易になり、より効率的に仕事をすることができたと結論付けられました。

デュアルディスプレーの作業効率の良さは試してみればすぐに実感できますので、PC作業の多い部署では導入を検討することをおすすめします。

時代遅れのテクノロジーが年4週間もの社員の時間を無駄にする

時代遅れの技術が原因で、一人の社員で一年あたり4週間分の業務時間=約167時間も無駄にしているという調査結果があります。

これは人々が毎年休日として過ごす以上の時間です!

回答者の64%は、オフィスに新しいテクノロジーが導入されれば生産性は向上すると認めています。これは、最新のオフィス・テクノロジーへの投資を検討するのに十分な理由となるのではないでしょうか?

新しいコンピュータなどは安い出費ではありません。しかし、ぜひ一度 、古くなったツールを使うことに社員がどれほどの時間を費やしているのか、注意してみてください。

スピードが遅かったりフリーズしてしまうコンピュータは、常にイライラの原因になります。さらに、座ったままコンピュータの回復を待つことは、ただ時間を浪費するだけの最悪の事態です。

ツールは、社員の作業を妨げるものではなく、人々の作業が効率よく進行するのを助ける物であるべきです。

座り心地の良いオフィスチェアは、社員の生産性を17.5%向上させる

平均的な社員は1日あたり約8時間をデスクワークをして過ごしています。

座り心地の良い椅子は、社員の腰痛やその他の怪我を避けるのに役立ちます。人の体に適切な正しく設計された快適な椅子を使用すると、社員は快適に作業に専念できるようになります。

社員の生産性は、適した椅子を使用するだけで17.5%増加します。

デスク・オーガナイザーは週に最大4.3時間を節約する

ある研究によると、平均的な人は週に最大4.3時間もの時間を書類を捜すために浪費しています。これはイライラやストレスの原因になり、集中力の低下につながります。

プリンストン大学の神経科学研究所の同様の研究では、ごちゃごちゃと整理整頓されていない机は情報を処理する脳の能力を妨げていることがわかりました。

快適な机や椅子、使い心地の良いコンピュータ、スキャナなどのツールを社員のために用意することは生産性や仕事の効率をあげるために最低限必要なことです。しかし、勤務時間中に無駄になる時間を減らしたい場合は、それ以上の用意が必要になります。

フォルダやデスク・オーガナイザーなどを社員に提供するだけで、社員の整理整頓を手助けし、書類を探すための無駄な時間を節約することができます。

換気の良いオフィスは生産性を61%向上させる

快適で換気の良い職場は、社員の業績に大きな影響を与えます。

ハーバード大学とシラキュース大学の調査によると、社員が風通しの良いオフィスで働くと、生産性は61%向上し、認知課題では約27%向上しました。

自然光は集中力を15%向上させる

照明研究センターが実施した実験では、自然光が社員の集中力を向上させることが分かりました。窓のないオフィスで働く人は、窓があるオフィスで働く人より、業務に15%多く時間を費やしていることが分かりました。

電灯の光については、明るい場所では生産性が向上すると主張している人もいれば、余り明るすぎないほうが集中力が増すと主張する人もいますので、議論の余地があります。ただし、照明が明るすぎると、頭痛、疲労、および眼の疲れを引き起こすことは研究によって確認されていますので、直接頭上にあたる強い照明は避けてください。

オフィスに自然な太陽光が届かない場合は、蛍光灯よりも優れたLEDライトを使用することを検討してみてください。

さらに研究で分かっていることは、自然光と社員の効率との間に強い相関関係があることです。自然光を浴びることで作られるビタミンDは、睡眠の質やモチベーションを改善することができます。

新しいオフィスを探すときは、十分な自然光があるかどうかにも注意してみてください。

植物を取り込む

植物は地球の生態系や生活そのものにとって重要ですが、あなたのオフィスにとっても重要です。

2014年の調査によると、植物のあるオフィスで働く社員は、植物がないオフィスで働く社員に比べて、15%高い生産性を示しました。これに加えて、オフィスに空気清浄効果のある特定の植物を置くことで、かなりの量の揮発性有機化合物を除去することができ、より健康的な室内空気を促進することができます。

より良い質の空気は、生産性を改善する認知機能を高めることが示されています。

ちなみに、NASAの研究によると、菊は室内空気からアンモニア、ベンゼン、ホルムアルデヒド、キシレンを除去する空気清浄効果がダントツの植物でした。
参考:NASA空気清浄研究

ただ、日本だと菊はお葬式のイメージが強いので、オフィスに飾るには抵抗がある人もいるかもしれません。

まとめ

一度に何もかもを変更をする必要はありません。例えば、「今月は椅子を新しくする」「コンピュータは4年間使用したら買い換える」など予算に見合った計画を立ててください。

また、投資をする前には、例えば照明の配置や社員の机の並べ替えなどの簡単な変更から考えるようにしましょう。

オフィス環境の変更をしたら、次は、時間をかけて観察してください。照明や新しい椅子がどのように社員のパフォーマンスに影響を与えているか、あなたはきっと驚かれるでしょう。

その後も引き続き、社員の生産性を追跡し、作業品質が向上するかどうかを確認します。社員の意見を聞き、たとえ小さな事でも、より効率的になるようなキッカケを見つけてください。

オフィスの物理的環境の向上に加え、従業員に報いることができる制度を作ることも重要です。そのための制度設計や見直しは財務と労務の両面から行わなければなりません。財務負担を抑えながらも従業員への還元を手厚くし、従業員が一生働ける環境の会社づくりをしたい方がいらっしゃいましたら、当社にお声がけください。会計や税務だけでなく、財務、保険、銀行取引やITにも強い公認会計士が、あなたの会社の発展のため、全力で支援させていただきます。

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